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中華料理(2) 中華料理の調理法・食材入門(調理法)

1 はじめに

 「ひとこと書評」でも少し書いたが、『中国グルメ紀行』(著:西園寺公一。つり人ノベルズ)を読んだところ、調理法だの食材について日中で呼び名が違うこととか、いろいろ紹介されていた。
 この際(←どの際?)、整理してみたいと考えた。
※1 『鉄の胃袋中国漫遊』(著:石毛直道。平凡社ライブラリー)に基く内容を追加しました。
※2 『おそうざい中国四川料理』(著:陳建民/洋子。中公ミニムックス)に基づく内容を追加しました。


 


2 調理法

 調理法についての概略を。

名称 説明 備考 出典
煮もの      
蒸(ゼン) 蒸しもの 「清蒸」(チンゼン)は醤油を使わない蒸しもの。醤油味の蒸しものは「紅蒸」(ホンゼン) グ37
清蒸(チンヅエン) 材料に下味をつけて蒸したもの。主に魚類にする
陳56
粉蒸(フエンヅエン) 肉、魚類などの材料に味付けして米粉をまぶして蒸したもの 四川料理の調理法 陳56
糟蒸(ザオツエン) 調味料に酒粕を使い、香りを生かす蒸しもの 北京料理によくみられる 陳57
扣蒸(コウヅエン) 材料を揚げたり、煮たりした後スープ碗にきっちりと並べて詰めて蒸す 皿にひっくり返して移してそのまま出したり、あんかけやスープものに仕立てる 陳57
煮(ヅー) 煮もの
グ37
焼(シヤオ) 煮込みもの。材料を油で揚げたり、炒めたりした後、スープを少し加えて煮込む 柔らかく煮込んだ後、油で揚げる方法もある。北方料理では「揚げもの」、広東料理では「直火焼き」の意で用いられることもある。「グ」では「焼く」に分類 陳42
紅焼(ホンシャオ) 醤油で煮込んだ料理。カラメル(糖色=タンソオ)を入れ塩味で仕上げることもある 仕上げに水溶き片栗粉でとろみをつける 陳42
乾焼(ガンシャオ) 肉、魚、えび類は辛味で、野菜類は辛味をつけずに仕上げる 四川料理独特の調理法 陳43
葱焼(ツオンシャオ) 「紅焼」とほぼ同じだが、ねぎを多めに使う 生臭い材料の時に用いる 陳43
白焼(パイシャオ) 煮込んだ後、塩味で仕上げる
陳43
糟焼(ザオシャオ) 酒粕を加えて仕上げる
陳43
「火+毒」(ドウ) 麻婆豆腐のように、少量のスープを加えただけで、材料自体の水分を利用して弱火でぐつぐつと煮込む 「火+毒」(ドウ)は四川方言 陳43
湯菜(タンツアイ) スープ料理
陳79
清湯菜(チンタンツアイ) 澄んだ上等のスープを使った料理 清蒸(チンヅエン)を含む場合もある 陳80
奶湯菜(ナイタンツアイ) 奶湯(白いスープや濁ったスープ。濃いスープやエバミルクを使ったスープを含む)を使った料理


陳80
砂鍋(シアグオ) 土鍋に入れて煮込むスープ料理
陳80
火鍋(フオグオ) 鍋の中央に煙突があり、そこに炭火を入れ、そのまわりにスープと材料を入れて煮立てるスープ料理


陳80
酒蒸(ヂウヅエン) 蒸す調理法を応用したスープ料理 酒を長時間蒸していくうちに酒がスープに変わる点に特徴がある 陳80
燉(ドウン) 煮こみ。炒めてから煮こむ
グ37
土鍋などを使い弱火でゆっくり材料がとろけるぐらいまで煮るスープ スープを濁らせないように作るのが「清燉」(チンドウン) 陳80
羹(ゴン) スープに水溶き片栗粉を入れ、とろみをつけて供する
陳80




煨(ウエイ) とろ火でゆっくり煮つめる


グ38
たっぷりのスープ又は水を加えて弱火で長時間煮込む 陳44
「火+會」(ホエ) どろんとした汁に煮る料理。さまざまな身が入ったポタージュ 「陳」では「あんかけ」に分類 グ38
熬(アオ) ラードを使った油煮
グ38
燜(メン) 水煮して、調味料を加え、とろ火で時間をかけて煮る





グ38
「焼」とほぼ同じだが、煮込む時のスープが少なめで、蓋をして弱火で煮込み、とめる時の片栗粉も少なめに使う 陳44
焼く、炒める      
焼(シャオ) 日本料理の塩焼き、照り焼きとは違う 「紅焼海参」は、イリコ(干しナマコ)を戻し、柔らかく煮てから油で炒めたもの。
「干焼冬笋」は、タケノコを油で揚げ、スープを少し加え、からからになるまで油で炒めたもの
グ39

紅焼(ホンシャオ)は醤油を使った炒め煮 鉄234
烤(カオ) あぶり焼き
グ39
煎(ジェン) 鉄の平鍋に油をひいて焼く


グ39
少量の油を使い、鍋の中で材料の両面を色づくくらい煎り焼く 陳24
「火+胡」(フー) 狐いろに焦がす焼きもの
グ39
貼(テイエ) 油を少なくして一面だけ焼く
陳24
炒(チャオ) 炒めもの
グ40
干炒(ガンチアオ) 少量の油で材料を直接炒める。材料の水分を徐々になくす炒め方

陳9
滑炒(ホワチアオ) 下味付けした材料を油通しをしてから炒める。味付けは別碗に調味料を合わせておき、手早くからめて炒める 出来上がりが滑らかでやわらかいのが特徴 陳9
清炒(チンチアオ) 下味付けした材料を油通しをしてから少量の油で炒める。味付けは塩味で、材料の持ち味と色合いを生かす


陳9
生炒(シエンチアオ) 生の材料に下味付けして、油通ししてから炒める。味付けは塩、醤油のいずれでもよい


陳9
抓炒(ヅォワチアオ) 下味付けした肉類を少し色づくくらいに揚げてから甘酢のきいた味付けのタレをくるめて炒める 北京料理独特の方法 陳9
「火+扁」(ビエン) 強火で熱した鉄鍋に油を入れ、すばやく炒める
グ40
「火+辺」(ビエン) 主材料を少量の油で炒めて、その水分を徐々になくし、六分どおり火が通ったところで副材料を入れて、さらに炒めて仕上げる



陳9
爆(バオ) 「炒」よりさらに強火で短時間で炒めあげる 北京料理が最も得意とする調理法。「グ」では「揚げもの」に分類 陳9
油爆(ユーバオ) 主材料を熱湯でゆでてから水気をきり、高温の油にくぐらせ、鍋に通して強火で手早く炒める。ねぎ、ニンニクを使い、水溶き片栗粉でとろみをつけた混合調味料で仕上げる





陳9
塩爆(イエンバオ) 油爆とほぼ同じだが、中国パセリを加え、ほとんど塩味で仕上げる。 片栗粉を使わないので仕上がりがさらっとしている 陳10
醤爆(ヂアンバオ) 材料に下味付けしてから油通しをして、黄醤か甜麺醤を使い、強火で手早く反転させながらからませるように炒める



陳10
葱爆(ツオンバオ) 多量のねぎを強火で炒め、その香りを材料に生かす 羊肉、内臓類など臭みの強い材料に用いる 陳10
「火+倉」(チャン) たぎった湯や油に材料を入れて、ざっと火を通したあと、取りだして調味料につけた料理


鉄41
揚げもの、あんかけ等      
炸(ザー) 揚げものの総称。煮立った油で、比較的じっくりと揚げる

グ41
油で揚げること
鉄253
たっぷりの油で揚げる。材料には必ず下味をつける
陳22
清炸(チンザ)・乾炸(ガンザ) 唐揚げ。衣をつけずに、片栗粉かうどん粉を軽くまぶして上げる トンカツのようにパン粉をつけた揚げものを「乾炸」と呼ぶことがある 陳22
軟炸(ロワンザ) 衣(糊=フ)を使った揚げもの 衣は卵白のみを用いる蛋白糊(ダンパイフ)と、全卵を用いる鶏蛋糊(ヂイダンフ)が代表的 陳23
酥炸(スウザ) ふくらし粉とラードを入れた衣をつけて揚げる クッキーのような口当たりがする 陳23
炸高麗(ザガオリイ) 卵白をかたく泡立て、片栗粉、うどん粉などを加えて揚げる 雪のようにきれいに揚がるので、甘い料理に多く用いられる 陳23
烹(ポン) 揚げた材料を鍋に戻し、調味料を強火で手早く浸みこませる 唐揚げした材料をごま油とねぎのみじん切りでから炒めする「干烹(ガンポン)」と、味付けに酢や甘酢を使う「醋烹(ツウポン)」が代表的 陳23
爆(バオ) 高温でたぎった油で手早く揚げる
グ41
鍋で高温に熱した油の中に材料を入れて、非常に手早く炒めること

鉄253
扒(パー) あんかけ料理
グ41
柔らかくなるまで煮る、とろ火で長く煮込む
鉄256
「焼」よりやわらかく煮込んだもの 四川では「焼く」に入れるが、北方菜に多く使われる表現 陳44
溜(リュウ) 炸と扒の結合。揚げてから、味付けあんをかける




グ42
あんかけ。油処理した料理にあんをかけたり、からめる 陳32
炸溜(ザリウ) 衣揚げしたものにあんをからませる
陳32
焦溜(ヂアオリウ) 炸溜とほぼ同じだが、材料を焦げ目がつくくらい強く揚げて、上からあんをからませる


陳32
滑溜(ホワリウ) 材料を揚げずに、下味付けして油通しだけしてあんをからませる 非常にできあがりが滑らかで「炒」に似ている 陳33
糟溜(ザオリウ) 滑溜とほぼ同じだが、あんに酒粕を加える
陳33
醋溜(ツウリウ)・糖醋溜(タンツウリウ) 酢や甘酢をたっぷりきかせたあんでくるむ。最もよく用いられる

陳33
「火+會」(ホエイ) 煮込みあんかけ。ゆでたり、揚げたりした料理を、多めのスープで煮込み、水溶き片栗粉で薄くとろみをつける



陳32
紅「火+會」(ホンホエイ) 醤油を使って仕上げた煮込みあんかけ
陳33
白「火+會」(パイホエイ) 塩味で仕上げた煮込みあんかけ
陳33
清「火+會」(チンホエイ) 澄ましスープ(清湯=チンタン)を使って塩味で仕上げる

陳33
「サンズイ+刷」(シュアン) 水だき。しゃぶしゃぶ
グ42
拌(バン) 和えもの。混ぜるという意味
陳73
生拌(シェンバン) 材料が完全に冷めた状態で和える きゅうりのようにそのまま和えるもの、セロリのように塩もみして和えたり、イカなどのように水にさらしてから湯通しして和えるものなどがある 陳73
熟拌(シュウバン) 材料をゆでたり、蒸したりして完全に水を通してから和える

陳74
熱拌(ルオバン) 材料を湯通しした後、冷まさずに味付けしたもの 熱いうちに和えると味がよく浸みこむ 陳74
上漿(シアンヂアン) 下味付け
陳18
泡油(ハオユー) 油通し。揚げものより少な目の油に、材料をさっとくぐらせる

陳18




 これで少しは菜単(メニュー)を読めるようになるでしょうか?

 


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